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2006年7月30日 (日)

奥庭

Photo_29 先日、師匠とお稽古帰りにお食事をしたときのことです。「ちょっと奥庭へ」と言って師匠が席を立たれたので、お店の奥に庭園があるのかと思いきや・・・トイレのことだったのです。なんと、奥ゆかしく風雅な呼び方。

調べてみたら、ほかにもトイレの呼び方はさまざま。厠、御不浄、はばかり、お化粧室などなど。このほかお寺や神社での呼び方が通称になったものもあります。例えば、「雪隠(せっちん)」は、禅寺のトイレをさす「西浄(せいじん・せいじょう)」に由来。「東司(とうす)」は禅寺の東西にあるトイレの呼び名。「後架(こうか)」は、禅寺で僧堂の後ろに掛け渡して設けられた洗面所。よく耳にする「手水場」は、本来は神社などで手を清める場所。終わってから手を洗うことからトイレをさすようにもなったとか。また、「装物所(よそものどころ)」のように、ちょっと雅やかな呼び方もあるそうです。

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2006年7月25日 (火)

落語家仕草①

最近落語に御執心。Photo_27 東京には落語を上演する定席が4箇所あります。浅草の<浅草演芸場>、上野の<鈴本演芸場>、新宿の<末広亭>はよく知られるところですが、池袋の<池袋演芸場>はちょっと地味なイメージ。私も昨日初めて訪れました。驚いたのは、チケット売り場では、なんとモニターテレビでライブ上演を流していること。これなら演目表と照らし合わせてご贔屓さんの少し前に入場できるから、とっても便利。ホールはビルの地下二階。なんだか下北沢にあるアングラ劇場を思わせます。お茶と“こげせん”(おこげ風煎餅)を買って準備万全でホールに入ると、なんとも狭い。舞台に向かって下手前方に入り口があるため、入った途端にお客様や噺家と目があってしまうほど。学芸会のノリ・・・というのが第一印象。ところが、話を聞き入るにつれて、舞台と客席の近さがたまらなく贅沢で面白い。噺家さんも客席の反応が近いので、必死も必死。この寄席はクセになりそうです。

昨日のお目当ては真打に昇進したばかりの柳家甚語楼さん、桃月庵白酒さん。偶然二人の真打昇進寄席に伺ったため、おこがましくも、なんだか応援してあげたい気持ちなのです。その他、大御所の面々は柳家はん治、三遊亭若圓歌、金原亭馬生、三遊亭金時など、どの方の噺もお上手で面白かったです。

寄席に行って私が注目しているのは落語家の仕草です。まだ落語歴の浅い私としては、ついつい噺の内容よりも、噺家の人と成りを観察してしまいます。金原亭馬生のお辞儀の仕方や羽織の脱ぎ方はなんともいえず色っぽい!噺のあとに芸者さんの1日を描いた小唄振りを踊ってくださったのですが、これまた年増女の色気がプンプン。三遊亭金時さんは、舞台の袖から出てきて座布団に座るときの着物さばきが本当に優雅で美しかったです。金時さんの着物さばき、さっそく使わせていただきます!

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2006年7月24日 (月)

蛍狩

Photo高尾山の「うかい鳥山」へ蛍狩に行ってきました。6月に訪れた「うかい竹亭」をさらに登った山間に、合掌造りの建物を移築した「鳥山」。篝火のお出迎えにはじまって、セルフサービスで蕎麦茶をふるまってくれる東家(冬は甘酒になるとか)、その場で鮎を焼いてくれる出店などが、自然の地形をいかした庭園に配置され、まるで昔話に出てくる村のようにそこだけ時間がとまったような幻想的な空間でした。

今回は、篠笛の奏者のお家元が参加して、食事中に御簾の蔭から邦楽を演奏してくれたり、笛の音に合わせて谷川俊太郎の詩を朗読する即興劇のようなものがあったりと、風雅な会となりました。お目当ての蛍も、人工的に放したものではなく水芭蕉園に自生している天然の平家蛍に出会うことができました。また、かすかに残された東京の自然の断片に、いっとき心の浄化をあじわった夜でした。

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2006年7月20日 (木)

棚機女(たなばたつめ)

Photo_25 毎週木曜日は手織り工房に通う日です。タイトルの棚機女(たなばたつめ)とは、機を織る女性のことです(詳しくは7月7日の<七夕さん>をご覧下さい)。今日で3回目となりますが、ずいぶんと緯糸をとおすための“ひ”を投げるのに慣れてきました。最初の段階では、先生が用意してくださった経糸をもとに、とにかく機に慣れる練習をします。糸という線から、布という面ができる実感。それは、とっても新鮮な喜びでした。

今日は、ただ<布>を織るのではなく目的をもって緯糸をコーディネートして、生活に使える<モノ>作りにトライ。平織りと綾織を組み合わせて、カラフルなランチョンマットを何枚も連続して織りつづけました。「経糸を張る強さ、トントンと緯糸を固定する手の加減などに、その人の人柄が表れるのよ」と先生曰く。まばらな織り目が不器用に並んだ様を、「これが今の私」と、なんだか微笑ましく眺めてしまいました。

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2006年7月19日 (水)

幸せ袋

Photo_23 子供の頃にはお正月にしかお目にかからなかったポチ袋。大人になった今、私は暮らしの様々なシーンでポチ袋を使います。お師匠さんへのお糸代(三味線を弾いていただいたときのお礼)、ご贔屓の役者さんへのご祝儀、友人に会費を立て替えてもらったとき、温泉で仲居さんへのご挨拶に・・・などなど。そのため気に入った絵柄のポチ袋に出会うと、ついついストックするクセがついてしまいました。ポチ袋の<ポチ>とは、関西の方言で<ほんの少し>という意味で、芸妓さんやお茶屋の女性にまく<ご祝儀>をさす言葉としても使われています。「ほんのお気持ちを、ひとつ」という思い、そしてお金を見えないように包んで渡すという日本人の奥ゆかしい気持ちが、小さな袋に込められているように感じます。

Photo_24 実は先日、お気に入りの雑貨店でポチ袋より二周りも小さな<たね袋>なるものと出会いました。なんでも、たね銭(小銭)を入れてお財布にしまうと福が訪れるそうな。500円玉がギリギリ入るほどの小さな小さな“プチ”袋。幸せのお裾分けといわんばかりに、家族や友人に<たね袋>をせっせと渡しています。ちなみに、サイコロの柄には“どんな目に転んでも福と転じる”という意味があるそうです。

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2006年7月14日 (金)

東京のお盆

Photo_21 普通は8月の行事と思われているお盆ですが、東京では7月に諸行事が行われるということを、恥ずかしながらつい最近知りました。なんでも、明治時代に太陽暦を導入した際に、東京ではそのまま新暦の7月15日にお盆を移したとか。一般的には、13日に家の入り口でオガラやたいまつなどを焚いて迎え火(または門火)をして、16日に川原で灯篭や供物をのせた送り舟を流して精霊送り(送り火ともいう)をするそうです。

 そんな折りしも花屋さんに並んだ仏花の中に、蓮の花を見つけました。花園で誕生されたお釈迦様を受け止めたという言い伝えのあるこの花は、「送り火の時に水に流してご先祖様をお送りするもの」と花屋さんが教えてくださいました。また、京都では仏花の中に必ず蓮の花を入れ込み、蓮の葉にお供え物を盛り付ける風習があるそうです。

清らかで無垢な印象の蓮の花を見ていると、だんだんに気持ちがピュアになっていくような気がするから不思議。開いては蕾むことを3日間繰り返す、つまり3度開花が楽しめる蓮の花。蓮の葉は空気に触れるとクルクルッと筒状に丸まってしまうということで、私はあえてモンステラと組み合わせて生けて見ました。

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2006年7月 7日 (金)

七夕さん

今日は七夕です。七夕といえば、牽牛と織女の物語が思い出されますが、それは中国のお話。日本での「たなばた」は、農耕文化の祓えの行事として始まったそうです。その内容はお盆に祖霊を迎える前に、山海の幸や新しく織った御衣(ぎょい)を神に捧げるというものでした。この御衣は、選ばれた穢れを知らない乙女「棚機津女(たなばたつめ)」たちが、奥深い清らかな水辺のほとりに特設した機屋にこもって心をこめて織りあげたものでした。「たなばた」の語源は、この「棚機(たはばた)」(布を織る機のこと)や「棚機津女」に由来しています。  この「棚機」に、中国伝来の牽牛と織女の物語や、同じく中国で中芸や芸能の上達を祈願する乞巧奠(きっこうでん)という行事が一緒になり、平安時代に今の「七夕」の行事がととのったそうです。  今日は小石川<一幸庵>の七夕菓子で、ささやかな祓えの行事を。梶の葉型の和紙に詩歌をしたためていた旧式に習って、梶の葉の色紙に願い事でも書いてみむかな。 Photo_20

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2006年7月 5日 (水)

黄金ひぐるまのお姫様

Photo_19 黄金ひぐるま(こがねひぐるま)とは、黄色の大輪の美しい花を日輪(太陽)になぞらえた、ひまわりの雅名です。

~髪にさせば かくやと射る夏の日や

王者の花のこがねぐるま~与謝野晶子

この歌のように、実際にひまわりの花を髪飾りにしたかどうかはわかりませんが、与謝野晶子という女性の生き方そのものが、太陽に向かって力強く大地を踏みしめていました。いろいろなエピソードが残されているなかでも、私の好きな逸話は晶子が35歳でパリを旅行した時のことです。友禅の振袖を纏い、真っ赤な芍薬の花を飾った大きな帽子をかぶった姿には、パリの女性も唖然として度肝をぬかれたようです。

 そんな思い切った生き方は私にはできないけれど、いつでも明るく前向きなひまわりは大好き。今、花屋さんにはヒメヒマワリが並んでいます。

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2006年7月 4日 (火)

オンナだって「しぃしぃ」したい

Photo_18 お 食事に行って、困ることがあります。黒ゴマや貝柱など、食べ物が歯にはさまってしまった時です。オジサンが気持ちよさそうに「しぃしぃ」しているのを見ると、心から羨ましく思います(あとは、おしぼりで顔を拭いている時にも・・・)。いくら手で覆っても、オジサンと同じようにお席で同じように「しぃしぃ」できませぬ。かといって爪楊枝を掴んで席をたつのも、「いかにも」という感じでスマートではないような・・・(トイレに爪楊枝が用意されているお店はありがたい!)。そんな私のプチ悩みを解決してくれたのが<お行儀ミラー(ようじ入り)>(税込504円)です。以前ご紹介した「まかないこすめ」(6月25日参照)の商品です。手拭地の爪楊枝入れにミラーがついている、シンプルで便利なもの。和小物店や歌舞伎座などの土産物コーナーなどでは、よくみかけるものではありますが、それらのほとんどはレトロなこってり柄の縮緬地。ちょっとオバサンくさいのであります。それが手拭地になるだけで、サラリとしたカジュアル感がぐんとUP。なによりも“お行儀ミラー”というネーミングが素敵!ちなみに、オジサン衆へのちょっとした手土産としても喜ばれています。

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2006年7月 3日 (月)

おさんぽ着

お散歩が好き。キモノが好き。そんな私にピッタリの本を見つけました。それが世界文化社『おさんぽ着』です。現在発売しているものは第2弾で、<お出かけ気分で楽しむ大人のゆかた>を特集していました。

<ゆかた>というと、<浴衣>という字を当てるように、そもそもは平安時代に貴族が湯あみの際に汗を拭き取るために用いた湯帷子(ゆかたびら)に発祥します。その当時はまだ木綿が日本になかったため、素材も麻だったそうです。庶民の間で夏の街着として花開いたのは、江戸時代の元禄期。贔屓の役者衆の紋や名前、縁起言葉を大胆にデザインしたものをはじめ、洒落や遊びの精神が込められた柄行で江戸っ子たちはお洒落を競ったそうです。

 <浴衣>と聞くと、紺白地の粋なものを思い浮かべますが、『おさんぽ着』で紹介されているのは、レストランや美術館、プチ旅行にまで、キモノ気分で着られる<おでかけゆかた>でした。絞り染めで小紋柄を表現したものやカラフルなワンピース・テイストのもの、オンナっぷりのあがりそうな子持ち縞など・・・。はたまた、ゆかた感覚で気軽に着られるカジュアルな小紋など、キモノへがぐっと身近に感じる内容に魅了されました。

 きもの初心者の方はもちろん、キモノ姿がマンネリ化してきたという人にもお勧めの一冊です。

Photo_17

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