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2006年9月29日 (金)

お掃除

Photo_10 朝から拭き掃除をした。ひとたびスイッチが入ると、いろいろなところの塵や埃が気になり始める。原稿を書こうと思っていた午前中は、すっかり掃除に費やされてしまったが、なんと気持ちのよいことか。部屋の中の空気がまるで違う。単に部屋がきれいになったというよりも、清められたという感覚。私が知っているお茶人の1人に、お客をお迎えするときに人からは見えないようなソファーの裏やドアノブの手垢から机の脚に至るまで、とにかく部屋にあるもの全てを隅々まで掃除するとか。その心意気こそ、人をもてなすお茶のココロのように思える。

また、端正にキメの整った肌の女性を見ると、折り目正しいキレイな暮らし振りをイメージさせる。20代の頃は、どんな不摂生をしても一定の肌が保てたが、大人の女性の肌はそのままそっくり人としての丁寧さを物語り、冴え冴えとした肌ときちんと片付けられた部屋とがリンクする。

そんな事を思い浮かべながら、せっせとお掃除。ご褒美はとらやの<夜の梅>と下北沢つきまさの美味しい緑茶です。

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2006年9月25日 (月)

よっ、六代目②

Photo_9 鈴本演芸場で9月21日から行われている柳家小さん襲名披露興行。今回2度目の拝聴へ出かけました。芸の道とは果てしない、終わりのないものだと想像します。車の運転でもスポーツでも仕事でも、なんでもそうだと思うのですが馴れてきた頃に怪我をしやすいといいます。長い道のりを奢ることなく歩むことは、とっても大変。

最近キモノを着る機会がぐっと増えた私。着る回数が増えるほどに、スラスラとスムーズに着付けられるのですが馴れほどこわいものはないと感じます。衿のぬき加減や帯の結び方に、ちょいと生意気さが出てしまう。素人らしく可愛らしく、きっちりと、それでいて自然に着ることが私の目標。ところが気を抜くと、だらしなくはならないのですが妙な色気が出てしまう。街角のウィンドウに映る自分を見て、イカン、イカンと衿元を正す次第です。

小さん師匠の落語は、元来の柔和なお人柄と芸道への真面目さが、ちょうどよく交じり合って本当に見ていて心地よい。肩肘張らないこなれた感じが、厭味に映らない。聞いている人を素直にさせる。それは人並みならぬお稽古なくしては、なしえないことなのでしょう。来月も行きますとも。末広亭に浅草演芸場に、池袋演芸場。東京での40日間の襲名披露の変化を楽しみたいと思います。

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2006年9月24日 (日)

初お稽古

Photo_5 遠州流のお茶のお稽古を見学に行って来ました。京都の妙心寺大法院閑栖の松岡調(みづき)さんというおじい様が、月に一度妹様のご自宅にてお稽古をつけてくれる立礼スタイルのものです。遠州流袱紗さばきの華やかさ、種類豊富な茶花、松岡先生のお人柄にすっかり感服。

9月は重陽の節句設えで、菊の被せ綿が飾られていました。<菊被綿>とは、重陽の節句の前日に菊の花を真綿でおおって菊の香りを移し、翌9日に朝露に湿った綿を顔にあてて若さを保とうとしたそうです。(いつまでも若くありたいと思う貪欲なアンチエイジング願望は古来から変わらないのですね・・・)宮中の行事としては平安前期の宇多天皇のころにはじまったこの行事、近世に入ると「白菊には黄色の綿、黄には赤い綿、赤い菊には白い綿を覆う」という記述が『後水尾院当時年中行事』に記されています。

お稽古を体験して感じたのは、茶道というものは日本文化の結集。そして、その根底は人を思いやる<礼>の心があるということです。初めてのお稽古なので、お手前の型はチンプンカンプンなのですが、すべての所作には意味があり、それは人様にお茶をさしあげることへの謙虚な気持ちであり、美味しいお茶が入れられますようにという祈りであり、茶道具と真摯に向き合う姿勢なのだと感じました。茶はココロ。そんなフレーズをどこかで耳にしましたが、初心者だからこそ、まずは心を大切にしたいと感じ入った次第です。これからお手前(型)を身に付けても、この基本と成るココロを大切にしたいと思います。

Photo_6 柿の柄を染めた古裂と書を組み合わせた松岡先生の作品をお軸のかわりに。甘水とは柿の異名。

Photo_7 お彼岸の篝火をイメージして生けたお花。

Photo_8 お軸の脇に生けられたお花。

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2006年9月23日 (土)

32歳の笑顔

Photo_49 24日に妹が誕生日を迎える。友人A宅で毎年恒例の生春巻きパーティをしたときに、誕生会前夜祭を便乗させてもらった。フランスからの旅行帰りの友人Bがデュヴァル・ルロワという作り手の“ブランdeブラン(白の中の白)”というシャルドネ種だけでつくったシャンパンを持参してくれました。日本ではほとんどお目にかかれない逸品らしく、絶妙な酸味と香りは今まで経験のない味わいでした。

友人A、そして友人B。感謝なり。

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2006年9月21日 (木)

よっ、六代目

Photo_48 9月21日、柳家三語楼が6代目柳家小さんを襲名しました。8月31日の襲名前夜祭で初めて柳家三語楼という人を知った私ですが、その姿と話のなんともいえない品格にあっという間に魅了されました。落語協会のホームページでPRビデオを見ては常々心をときめかせ、襲名のこの日を鶴首の思いで待ちつづけてきました。

実は、25日に友人と上野の鈴本演芸場へ襲名披露を見に行く約束をしていたのですが、どうにもこうにも我慢しきれず、初日の興行へ自転車で出かけました。小さん師匠、本当に本当にステキでした。一言で表すととにかく、地味なんです。その飄々とした地味さ加減がなんとも魅力的。師匠が目指す“自然体”の芸を地でいっているような方だと感じました。相変わらずキモノの着こなしもアッパレでございました。あんなにキモノを美しく着る人を、私は他に知りませぬ。と、興奮状態の私、今は主観でしか物言えぬ物書きをお許しくださいませ。

帰り道、自転車をこぎながらの私の心境は、まさに<下笑まし(したえまし)>。心ひそかにニコニコしたくなるという意味の古語です。

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2006年9月18日 (月)

浅草見番

Photo_47 浅草の見番(芸者さんの組合のようなものです)に、邦楽囃子「ゆかたまつり」を見に行きました。私の友人でありよきキモノの先輩は「賤苧環(しずのおだまき)」の演目にて琴を奏でたのですが、本当に素晴らしかったです。望月流の小鼓、大鼓、笛のかたがたも大変お上手で、静御前の境遇の物悲しさと気丈さが見事に表現されていたように思います。こういった邦楽の会へ伺うと、私の小唄&三味線のお稽古熱も一気にボルテージUPします。

この日は、さらに上野の鈴本演芸場へと移動して9月の中席落語の夜の部を観賞しました。ご贔屓の柳家甚語楼さんを見るためです。真打に昇進してから勤める定席で、はじめてトリを努めたのですが(と記憶しているのですが)、キモノの着方がきちんとしていたことに驚きました。7月に池袋で見たときには衿合わせも座った時の裾のラインも乱れていたのに、今回はきっちりとしていてトリとして品格さえ漂っていたような・・・(それは言い過ぎ?)。とにかく私がいろいろな落語家を見ていて感じるに、キモノの着方は芸への志にも通じるものがあうように思います。それは、どんなお仕事でも一緒かもしれませんが、装いや話し方、食べ方、暮らし方にはその人そのものが現れるもの。全てに気を抜かないのでは息切れしてしまいますが、せめて「気を配る」くらいの志は持ちつづけたい・・・と、伝統芸能漬けの3連休を過ごしてみて、つくづく自分に言い聞かせている今日この頃です。

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2006年9月17日 (日)

八ツ橋

917 9月の歌舞伎座、夜の部を観劇してきました。福助さんの八ツ橋、本当に綺麗でした。数年前に玉三郎さん演じる八ツ橋を見たことがありますが、美女度でいうと玉三郎さんのほうが綺麗。ただ、完璧すぎて八ツ橋だけを見ている分には絶品ですが、味わいとしては福助さんのほうが色気を感じました。最後に籠釣瓶という名刀で次郎左衛門に殺され、倒れ込む時の妖艶さには、全身鳥肌がたちました。いやはや、あっぱれ。

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2006年9月16日 (土)

英語で歌舞伎

Photo_46 歌舞伎のイヤホンガイド解説者のおくだ健太郎が定期的に行っている「歌舞伎を楽しむ会」に行って来ました。今回は日本人で唯一の英語のイヤホンガイドを担当している岡本さんという女性との対談形式で進められました。歌舞伎の特殊な世界や日本語の情緒を直訳するのは難しく、微妙なニュアンスを交えた解説に苦労の連続とか。例えば、お花見などは「picnic」と表現されるそうです。確かに、行為そのものを見るとピクニックなのですが、桜の花に対する日本人の春を待つ情緒は伝わらないような・・・。まだ、「traditional flower festival」という気がしますが。いかがでしょう?

ちなみに、花魁は「couetesan」というそうです。9月の夜の部「籠釣瓶花街酔醒」に出てくる八ツ橋のクラスは「hight-grade couetesan」と表現するとか。明日は、夜の部を観劇に行きます。福助演じる「hight-grade couetesan“YATSUHASHI”」をじっくり味わって見たいと思います。

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2006年9月14日 (木)

初体験

Photo_41 初めて平日のナイターというものを観戦しました。シーズンの終盤も終盤で、消化試合だったので客席はガラガラ。この日はとても気温の低い日だったので、外野席でビールを飲んでいても風通しがよすぎて寒々しいかんじでした。とはいえ、なんだか楽しい。仕事を早く切り上げて屋外でビールを飲むことの開放感と、プロのスポーツ選手を間近にする臨場感、応援団のけなげさなどが相乗され、とても楽しい初体験でした。

写真は、横浜ベイスターズの種田選手。蟹股でお尻をピヨッと出したバッティング・フォームがとってもキュートでした。

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2006年9月 9日 (土)

菊のお節句

99_2   99_1                                                                                              

今日は重陽のお節句。中国では奇数を陽の数字としていて、なかでも最大の数字である9が重なるのは大変おめでたいことだったそうです。そこで、9月9日は陽が重なるということから重陽の節句となりました。(一節には重九ともいうとか)。この日は観菊の宴が催され、菊を浮かべたお酒を飲んで長寿を祝うことから、菊のお節句とも呼ばれています。

本日の私は、菊のお酒ならぬ、師匠と焼き鳥屋で熱燗をいただいておりました。

お月見うさぎを織り出した帯で、すっかり秋の装いです。   

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2006年9月 6日 (水)

タイ土産

Photo_43 妹がタイへ社員旅行へ行ってきた。

麻の布とフラワーキャンドルでデコレーションされたお土産、開けるだけでもワクワク。

Photo_44 出てきたのははウッド素材にキュートなお花をペイントしたキャンドルスタンド。焦げ茶ベースの我が家のリビングに違和感なく溶け込みました。

Photo_42

夏の間活躍するお気に入りの蚊取り線香スタンドとも、こんなに好相性。

Photo_45 そして、美味しいもの好きの妹らしく、色鮮やかなライチもおまけ。残暑のきびしい時分、南国の爽やかな風を運んできてくれました。

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2006年9月 5日 (火)

骨董市

Photo_39 友人に誘われて新井薬師の骨董市へ行く。

日曜日朝5時起きはつらかったけれど、不思議なキモノ・コミュニティーに出会えました。

境内の中央でおじさんがその場でダンボールを開けながら講釈つきで商品を紹介していく演出(?!)はお見事。それを取り囲む常連殿が幾重にも円陣を組んで見守る様も実に圧巻。この常連ご一行さま、口調は穏やかだが戦利品を射止めようとする目は鋭い。市は6時からだが、早く到着したからといって円の1列目に座れるわけではなく、新参者は控えめに後ろから手をのばさねばならない。

キモノは古着とはいえ状態がよく、業者さんらしき方から古裂を用いたクラフト作家の方、有名な仕立て屋さんや名の知れたキモノ・エッセイストも姿を見せる。かなりファン層の厚い、不思議な魅力をもった行商のおじさんなのです。私は1列目の常連がキープしていて手放したチョコレート色の袷の結城紬を1万円で、華やかなお出かけ気分の夏帯を8000円で購入。なんだかとってもお買い得。

Photo_40 買い物が終わったあとは、ルパンという純喫茶へ。どうやら、このおじさんの買い物をした人はモーニングが無料になるらしく、先ほど1列目に座っていたおばさま方が既に食パンを頬張っていました。

なんとも愉快。来月も行ってみようかなぁ。

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2006年9月 1日 (金)

前夜祭

Photo_38 8月31日<6代目柳家小さん襲名前夜祭>を訪れる。5代目は人間国宝でもあった偉大な名跡<柳家小さん>の、襲名前の特別寄席とあって、1時間ほど送れて昼の部に席入りしたら、すでに立ち見。普段の寄席では見られない柳家一門の噺家衆勢ぞろい幕、それはそれは圧巻でした。通常寄席のプログラムには演目はかかれていないのですが、仲入り後の出し物においては、5代目が得意としたものを弟子が演じるという意味合いで、あえてプログラムに明記したそうです。6代目のお噺、清々しい口調と几帳面さをうかがわせる仕草で、私はとっても好感がもてました。御召しになっていたいた着物もとっても素敵。透明感のある柳色に蛍絞りのなんともいえない上品な小紋が、名門噺家の門出に相応しい装いでした。三語楼時代にはノーチェックだったのですが、これからしっかり応援しようと思いました。皆さまも9月の襲名披露寄席、ぜひぜひ足をお運びくださいませ。

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