« 包む | トップページ | 心温まる一服 »

2007年1月 4日 (木)

雪國

Aipsd お正月は新潟の実家でのんびり、のどかに過ごした。

次の2月の小唄会にむけてお稽古している曲は、川端康成の『雪國』を題材とした<駒子>。役作り?!をするには、ピッタリの環境でした。昨年よりは雪は少ないものの、群馬からトンネルをひとたび抜けると、冒頭のフレーズにもある銀世界が広がります。

そこで、この機会にもう一度『雪國』を読み返すことに。私の中で、この物語は東京から来た島村と芸者・駒子との淡い抒情的な恋物語・・・という記憶でした。叶わぬ恋を追いかける駒子の姿はひたむきで、けな気な印象として残っていた(映画では岸惠子が演じていた、あの感じ)・・・はずだった。が、読み返してみて驚いた。この作品、実にシュールでアバンギャルド。川端康成が新感覚派と呼ばれたのがうなずける。とにかく、駒子の整合性ゼロの会話がたまらなく面白い。

「私帰るわ」

「帰れ」

「もうしばらくこうさしといて」

「それじゃ僕はお湯に入ってくるよ」

「いやよ。ここにいなさい」

・・・なんだか、地方のスナックで交わされるラブシーンのようだ。だが、そんな場面も文豪の手にかかるとノーベル文学賞なのだ。駒子と島村の会話は現代詩のようであり、随所に差し込まれた日本の美しい四季の移ろいはココロに染み入る。だが、はやり斜め目線で読むと、つんくが書くモーニング娘の乙女心と同じ。<キライ、キライ、大キライ、嘘、好き>というパターンだ。日本の男性は女性にこう言われるのが永遠に好きらしいということがわかった。

言葉だけに留まらず、駒子のヒートアップする行動は実に突拍子もない。ある時は簪を畳にプスプス挿しながら島村に迫る、またある時はいきなり自分の肘に歯形がつくほどかぶりついたりする、極めつけは島村が乗った車にいきなり飛びつき窓から入り込む。と、私がなんだかんだ言ったところで、ノーベル文学賞なのだ。

小唄の歌詞はとっても艶っぽいのになぁ。悲しいかな目の前にアバンギャルド駒子がちらついてしまう。

|

« 包む | トップページ | 心温まる一服 »

コメント

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

投稿: タマ | 2007年1月 6日 (土) 11時34分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 雪國:

« 包む | トップページ | 心温まる一服 »