春、囁く
今年の冬は本当に暖かかった。過去形なのは、暦の上ではもう春だから。この先凍て返りはあるのだろうか?それともこのまま春本番を迎えるのだろうか。どちらにしても、春が呼び声をあげるまえには、三寒四温を通過する。冬の名残と春の兆しが、行ったり戻ったり。
こう暖かい日が続くと、キモノでの外出も軽装となる。今日は小唄のお稽古へ。マフラーをバッグにしのばせて道行きだけで十分だった。結城紬にあわせた帯は、縮緬地に紅型で菊唐草を意匠化して染めたもの。帯締めはいろいろと悩んで白を選んだ。春の清澄さを、すっきりとした白のゆるぎにこめたかったのだ。
が、しかし。お稽古場で師匠の目がキラリ。「白は普段着にはしないもの。お正月やお祝い事の席に締めるもので、少し使うとすぐに手の脂で色が褪せるので毎年新調したものよ」。なるほど。でも、今の時代、ゆるぎ組であれば白を季節の付箋として取り入れて楽しみたいもの。房の内側だけ赤い糸を入れてわざわざ組んでもらった帯締めだっただけに、今日は師匠のアドバイスが素直に胃の底におさまらなかった・・・。
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