初めての茶杓作り
竹芸作家の藤塚松星さんに茶杓作りを教わる、という好機に恵まれた。藤塚さんとの出会いは大学1年のころにまで遡る。「木ゼミ」という木を通して日本の文化を追求するゼミに所属していた頃、竹に興味をもった私は無謀にもアポなしで鎌倉の竹材店を押しかけ、紹介していただいた作家さんが藤塚さんだった。以来、年賀状のやりとりにはじまり、個展にご案内いただくなど、細く長いお付き合いが20年も続いている。
茶杓づくりは、当然一筋縄ではいかなかった。竹という素材を読むことから、火入れ、曲げ、削り・・・一見単純な形をした茶を掬うためだけの道具の、なんともやっかいなこと。作りはじめてすぐに、誤魔化しのきかない厳しさと対峙することとなる。シンプルなものほど難しいということは、茶杓作りに限ったことでない。例えば、書道においてもひたすらまっすぐな線を引くことほど迷いが生じ、小唄でもさらりとした短い唄ほどとらえどころがなく、洋服だって飾り気のないものほど着る人の本来の姿がつきつけられる。
今回は茶杓に加えて、それを収める筒の作り方まで教わったため、その場で完成には至らなかった。続きは、これから。長い道のりとなるお茶の道に対する自分の思いを込めて、最後まで仕上げたい。
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