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2010年9月28日 (火)

妍麗なる色無地

Photo_5 4月にお願いしていた色無地が染め上がり、きものとなって手元に届いた。畳紙をあけた瞬間、思わず息をのんだ。想像していた以上に、そこはかとなく上品な藤色に染まっており、典雅な美しさがふわりと立ち込めたのだ。白生地はきめこまやかな素肌を思わせるような、柔らかな新小石丸。羽織ってみると、ストンと身体に寄り添い、軽やかな落ち感があるため、身体のシルエットがきれいにみえる。地紋は、大きめの七宝葵つなぎの飛び柄。ほどよく無地場があることで、地紋の力強さが際立ち、格調が高いのに重すぎず、ほどよい気品を感じる。

Photo_7 今回は染め抜きの紋にもこだわってみた。<かたばみ>だけでは、きもの地の迫力に物足りなりない・・・かといって丸で囲むのもイメージが違うような気がした。きものを染めてくださった、京都の「祇粋」さんにご相談すると、雪輪どりという提案をしてくださった。私が師事しているお茶の江戸千家の紋が雪輪ということもあり、さっそくその方向でお願いすることに。染め抜き方は、中陰紋とした。日向紋では格が高すぎて着ていくシーンがかえって限られる、かといって陰紋では弱い・・・と、うるさい事を言い出したら「陰紋よりも少し太い線で描く、中陰紋にしては」と水口さんの救いの一言。仕上がりはこのとおり。きもの地の華やかさと、ほどよくバランスがとれた染め抜き紋となった。

この一枚は私がこれまで描いていた色無地の概念を大きくかえる存在となった。これなら、お茶席はもちろん、格のある袋帯を合わせたら結婚式や華やかなパーティでも十分に存在感を発揮する。来月はきものを着る機会が多いため、今から愉しみである。

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2010年9月22日 (水)

ギフトの仕事

Photo 雑誌の企画で、あるメーカーとコラボレーションをして、オリジナルのギフトを作る企画に参画。これまで、既製品のなかから読者を想定したギフトを「選ぶ」という仕事は何度もおこなってきた。だが、今回は一からギフトを作るという初めての体験。ターゲットとなる読者層に喜んでいただきながらも、半分はメーカーの側にたち、今後そのオリジナルギフトが継続して商品化されることを見越して制作しなければならなかった。そうなると、単にプロダクトの問題だけではなく、その企業のあり方や大切にしたい思いなども含め、ギフトに表現する必要がある。これまで、様々なギフトを紹介してきた視点がお役にたてて、なかなか素敵なものが誕生した。雑誌が発売されたら、ぜひこちらのブログにもお目見えさせたい。

今回はラッピングの提案にまで及み、写真は私が制作した折形。中に入る商品の重みや贈るシチュエーションの意味を考慮して、「におい」(赤い色の紙)を添えた「行」の形で、水引を5本どりの「結びきり」とした。どんな折り、どんな結びをするかで気持ちが伝わる「折形」は、言わずとも大いに語っている日本の文化の滋味。

このギフトがたくさんの方の心に届きますように。

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2010年9月15日 (水)

新顔の竹ベラ、古参の木ベラ

1009153 1009152 先週、鹿児島へ出張に行った際、取材先の竹芸店から竹製品の台所道具をアレコレお土産にいただいた。今日、ご紹介するのはヘラの部分が緩やかなカーブを描いた竹ベラ。炒める際は普通のフラットなヘラ同様の機能なのだが、料理を盛り付ける際にこのカーブが、絶妙の使い勝手を発揮。形の定まらない具材やソースなどは、フラットなヘラからはこぼれやすいが、両サイドが内側にカーブしたヘラなら、器にうつす際にこぼれる心配がない。さっそく晩御飯に作ったゴーヤチャンプルの豆腐も、楽に盛り付けることができた。

100915 こちらは、5年ほど愛用しているKOHOROの木べら。こちらはヘラの部分に野趣溢れる削りがほどこされており、首をかしげたようなシルエットが愛嬌たっぷり。ヘラは炒め物や和え物に食材を混ぜる道具であると同時に、器に盛り付ける際には杓文字の役割も果たす、一人二役の道具。手にかわって大切な食べ物を扱う、そう考えると、シンプルな顔立ちが優しい表情に見えてくる。

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2010年9月11日 (土)

タッセル好きの輪

Photo_6 タッセル好きを公言していると、「実は私も・・・」という声をよく聞く。そして、棚ボタ的にタッセルをいただくことも多々ある。左は最近お仲間入りしたもので、ヨーロッパのお土産。

先日は仕事をとおしてタッセルを作っている女性と会う好機を得た。その方とさまざまなタッセル談義を繰り広げる仲で、タッセルはエジプトのピラミッドからも発掘されたことを知る。

その方のご提案で小さなタッセルをグラスマーカーや贈り物のリボン替わりとして使うアイディアをいただいた。なるほど。グラスも贈り物もタッセルを付属するだけで、こんなにもエレガントな様相に。このタッセルを作ってくださったのは、サリー・タッセルの町田さんという女性です。ネットでも装飾性溢れるデザインのタッセルをたくさん扱っているので、気になる方はぜひご覧下さい。

Photo_7 Photo_8

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2010年9月 9日 (木)

夫への贈り物

Photo_4 Photo_5 神保町にあるお気に入りのセレクトショップvekt。やっと少し涼しくなったので、秋物のファッション・ウォッチングに出かける。そこで見つけたのが、ドイツ・ブランドのこのストール。きものの花織りのような凝った織目といい、縦ラインの片側だけが柔らかな羊革でトリミングされている。切りっぱなしのような羊皮は裏が見えてもかえってニュアンスがあり、どんな巻き方をしてもシックに決まる。自分で巻いてみたのだが、いささかマニッシュすぎる・・・ということで、夫への贈り物に。ハンサムなストールに夫は照れながらもご満悦の様子だった。

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2010年9月 5日 (日)

イタリア夜想

Photo_3 イタリア語の勉強において、イメージトレーニングは大切だ。

イタリアの街を歩く自分、立ち寄ったレストランでスムーズにメニューをオーダーする自分、ブティックで「サイズが合わないわ~、もう少し大きいものをお願い」などと流暢なイタリア語で話している自分・・・。須賀敦子さんの辿ったローマとミラノの町並みを心温まる写真とエッセイで綴った本を夜な夜な捲りながら眠りにつき、夢の中で前述の光景を繰り広げるこのごろである。

本は『須賀敦子のミラノ』『須賀敦子のローマ』(文/写真 大竹昭子、河出書房新社)。

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2010年9月 2日 (木)

京都のプチプレお土産

Photo_2 京都へ旅行に行っていたというお姉さまからプチプレ土産をいただいた。これは京都の鳩居堂だけで扱っている豆文庫。タテ5×ヨコ3cmほどの可愛らしい豆文庫に、その方は墨でメッセージを綴り、贈り物に添えるのだという。なんと風情ある贈り方。このアイディア、ぜひ参考にさせていただきます。

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2010年9月 1日 (水)

ハンサムなハンガー

Photo 10年ほどまえに、ちょこちょこと顔を出していた麻布十番の「うちだ」という骨董店で、お客のひとりに<少年>と呼ばれている10代後半~20代初めくらいの男性がいた。私もよく店で顔を合わせ、店主夫妻を交えて何度か食事をしたこともあった。そんな<少年>が今年のはじめに代官山で自分のブランドの洋服店をオープンさせたと聞き、共通の友人に連れて行ってもらう。シンプルなシルエットで、シーミングやちょっとした襟のバランスなどに凝っており、何より素材にとてもこだわっていた。どこそこで優れた木綿があると聞くと、すぐに現地へ飛んでいくというこだわりよう。<少年>は私の知る限り「うちだ」のほかにも、含蓄のある骨董店にこまめに顔を出しては大人たちに可愛がられていたようだ。若いわりには頑固なところがあり、その頃から彼は美意識を磨いてきたのだろう。店内は敢えて商品を少なめにディスプレイしているが、そんな研ぎ澄まされた雰囲気もいやみに映らない。

洋服はユニセックスなでざいんなので、小さなサイズは女性でも着られる。といいつつも、私は洋服ではなくハンガーを購入してきた。ショルダーのアールラインや木地の削りの滑らかさ、スチール部分がちょっと長めのバランスで絶妙に「モノ」好き心をくすぐるのだ。*ちなみにチョップには、もっとスチールの首が長いタイプもあり。

Honor gathering(オナー・ギャザリング)」、ぜひ一度お出かけください。

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