« 2012年12月 | トップページ | 2013年2月 »

2013年1月30日 (水)

色めく

Imgp4912 Imgp4911

明治生まれの女流画家・上村松園は、最も好きな日本画家である。松園の絵をはじめて知ったのは学生時代だったと記憶している。見ているだけで心が清まる、ピンと張り詰めた美しさがある。線も色もとても繊細で描かれている女性は儚げなのに、不思議に黙とした迫力がある。

先日、偶然点けたテレビ番組で松園を題材としていた。話は口紅へと及ぶ。時代が西洋かするにつれ、油性のスティックタイプの口紅を若い女性が好んでつける様子を、苦々しく思っていたらしい。松園が理想とするのは、彼女の母親のような凛とした江戸時代の女。当然口紅は、本物の紅花から作られていた。松園は塗り方にもこだわっており、上唇を薄めに、下唇を濃い目の色に塗ると、女性らしさがふっくらと香り立つとのこと。

お仕事で仲良しになったお姉様からいただいた伊勢半本店の本紅を後生大事に持っていたのを思い出し、さっそく松園流に粧ってみた。筆を水でしめらせ、大切にそっと紅を溶かし付ける。昔の人は薬指で紅をつけ、薬指を「紅差し指」とも呼ぶとも聞いたことがある。人差し指でも小指でもなく、薬指というのがなんとも色っぽい。水性の紅は唇のキメに入り込むのか、ピタリついて落ちにくい。グラスや箸にも油分がつきにくかったので、気の張る会席料理やお茶の稽古のときなど、これからはちょっと贅沢な日常使いをしてみたいと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年1月29日 (火)

馬馬虎虎

2013012123020000 中国のことわざに「馬馬虎虎(マーマーフウフウ)」という言葉がある。ときには、「いいかげん」という意味でも使われるが、僧侶の玄侑宗久さんが、「人生は馬馬虎虎の心持ちで」と語っていたエッセイを読んで、私は「まぁまぁ、悪くないねっ」と捉える字義が気に入っている。

先週一緒に仕事をしたヘアメイクさんが最近猫を飼いはじめたと聞いて、写真を見せてもらったらトラ猫がヒョウ柄のクッションに鎮座していた。とっても美男子だったので、猫嗜癖のある方々に写真を転送した。「キャ~可愛い~」という返信がほとんどのなか、自宅で複数の猫を飼う一人から「まぁまぁネ」という言葉が。我が子可愛さゆえの言葉なのだが、その負けず嫌いな反応も悪くない。この写真の「まぁまぁネ」は、「虎虎豹豹」という漢字が相応しい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年1月28日 (月)

シャネルのバッグ?!

Tumblr_lyuf3tl0f81qm5lygo1_500 本物を見ること、似合う女性になりたいと憧れること、そして身につけること。この繰り返しで、美意識は磨かれていくのだろう。私がはじめてシャネルのバッグを買ったのは、30代後半である。やっとそれに見合う自分になれたと思って手にとった。

ブランド物を購入するときには三通りの理由がある。一つは前述のように憧れ続けて自分の器に見合ったときに買う、二つ目は少し背伸びをして長い時間をかけてモノに自分を合わせていく。モノによって引き上げてもらう場合。そして、三つ目は偶然バーゲンに通りかかったとき。

実に愛おしいファッション・スナップの彼女が、自分のシャネルを手にする日も、そう遠くないと思いたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年1月27日 (日)

睦月のきもの

Imgp4920 Imgp4921
1月は清雅な色を纏いたくなる。初釜には藤紫、お茶の稽古には柳色。考えてみたら藤も柳も春の木々。凍えるほど寒い毎日だか、気持ちは春を寿いでいるのだろう。






Imgp4922
こちらは3月発売のきもの専門誌『七緒』で雨ゴートの取材を受けた際の装い。コートの取材なので写りはしないのだが、枝垂れ桜の染め帯で心を春へと向かわせた。雨の日のきものでの外出はただでさえテンションが下がる。濡れた路面の跳ね返りを気にして雨天の際には濃地のきものを着る人が多いが、私はあえて白いきものや雨をイメージした水玉模様のきものを選ぶことが多い。せめて装いから自分も一緒にいる人も晴れやかな気分で包みたいと思うからである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年1月24日 (木)

終わりかけの美

130124_064501 朝、日課の玄関の掃除をしていたら、終わりかけのラナンキュラスの花びらがハラハラと散った。緊張感のある整っていたものが少し崩れる様は美しいので、落ちた花びらをそのままにして出かけることにした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年1月22日 (火)

シャビーシック

Imgp4928

撮影で使った花をお裾分けしてもらった。大好きなラナンキュラス。整ったブーケをそのまま飾るのではなく、ブリキのプランターやショットグラスに気取らずに生けたら、花が伸びやかにおさまった。人間もそうなんだろうなぁ。シャビー感と洗練されたシックな感性が好バランスな人やモノが、今の時代に求められている気がする。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年1月20日 (日)

ダイアナ・ヴリーランド

M0000000707_x 「息を呑むほど」、「溜息が出るほど」。どちらも美しいものを見たときの反応である。

土曜日の夜の映画館。仲良しのスタイリストさんと一緒にドキュメンタリー映画『ダイアナ・ヴリーランド』を見た。息を呑んだり、出したりの繰り返しで・・・映画が終わる頃にはふたりとも酸欠状態。それほどまでに、私達を興奮させたダイアナ・ヴリーランドとは、4050年代に『ハーパース・バザー』でカリスマ・エディターとしてファッション界をブルトーザーのように突き進み、60年代には『ヴォーグ』の編集長として転身をとげた20世紀ファッション界の女帝である。ツィギーやアヴェドンなどの才能の発掘にはじまり、マノロ・ブラニクに靴のデザインを勧め、ジャッキー・ケネディにファッションのアドバイスをしたのも彼女。華麗なエピソードを連ねたらきりがないが、刺激的だったのは彼女の言葉だ。ファッションには、“スタイル”が必要だと、彼女はしきりに繰り返していた。“スタイル”という言葉はコーディネートやデザインの哲学など様々な意味を含むが、私は“生き様”におきかえて解釈。<ファッションはスタイルこそがすべて。それがなければ価値がない>というダイアナの名言は、「外見はいちばん外側の中身」と言ったコラムニストの天野祐吉さんの言葉に通じる。ファッションには、自分自身の在り方が映るのだ。

<服を着て、いかに生きるか>という言葉を生涯体現し続けたダイアナは、常に完璧なメイクをして見えない部分にも手をほどこし、口紅とネイルを欠かさなかった。そんな彼女の“女”としての美意識を支えたのは、最愛の夫の存在だったという。夫の前では“恥じらい”を保ち続けたという女帝のインタビューは意外だったが、少しわかるような気がした。“恥じらい”や“はにかみ”は、年齢を重ねると失われていく。それを保ち続けるのは、美しさへの気概なのだろう。

昨日の映画に影響されて今朝は、口紅をつけて駅前の朝市へ大根を買いに出かけた。仕事へ向かう夫を送り出すときにポツリと言われたのが、「歯磨きのコップに口紅ついてたよ、気をつけてね」だった。はにかみが苦笑いに変わったのは言うまでもない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年1月11日 (金)

ウマヘタ

Imgp4890 お気に入りのセレクトショップvektにお年始の挨拶に行った。ふと視線に入ったのが、出されたお茶のカップホルダー。ずっこけそうなほど愛嬌たっぷりのオーナー手描きのイラストに、釘付けになった。絶妙な「ヘタウマ」だと感じて、いやいや、上手いからこそ下手加減のバランスがよいのだと思い直した。この「ウマヘタ」のカップホルダーを見たお客様のなかには、DMのイラスト依頼をしてきたひともいるとか。





Imgp4892
Imgp4891 こ丸クリップもvektさんのお手製。
イタリア製の大きなクリップに、圧縮フエルトを通したアンテナのようなクリップ。ノートをとめると、顔を出すフエルトの表情が心憎いほど愛らしい。長年務めたアパレルブランドのバイヤーをやめ、自分だけの城を作って、生き生きと個性を発揮しているvektさんの肩の力が抜けたセンスに、いつも癒される。今年も彼女から洗練とユーモアをたっぷりと吸収したい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年1月 6日 (日)

2013年の始まりです

Imgp4876 雪の新潟でお正月を過ごし、ちょっと重くなった身体と一緒に新しい年への希望と小さな目標を携えて東京の自宅に戻る。玄関に毎月恒例の月次花御札を飾りながら、ふと門松に使われている竹の切り口が、2種類あることが気になり、さっそく調べてみた。そもそも、門松は平安時代に唐から伝わったもので、最初は松だけが飾られていた。その後室町時代に入ると、松竹梅の縁起を担いで竹が添えられるようになる。当時の竹の切り口は、平に切られた「寸胴(ずんどう)」タイプ。斜めに切られた「ソギ」と呼ばれる切り口は、徳川家康が始めたも のだという。その理由の一説によると、。ある年の大晦日に、武田家から松平家(後の徳川家)へ「松枯れて 竹類なき 明日かな」という句が送られ、 これを見て松平から武田に「松枯れで 武田首なき 明日かな」 と返句。松平家では、こう詠みながら門松の竹の上部を斜めに切り落とし、この時を境に松平家の門松の竹の頭は「斜め切り」となり、徳川家康が江戸開幕後、関東ではこの型の門松が定着したとか。

小さな目標のひとつに、去年よりもブログの更新をマメにするという絵空事もあげてみた。どうぞ鶴首にて見守っていただきたい。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

« 2012年12月 | トップページ | 2013年2月 »