2012年12月30日 (日)

強くて繊細な存在

Imgp4875 ブログをほったらかしにして、2ヶ月以上が過ぎた。10月から立ち止まることなく続いた忙しさも、年越しの数日は小休止できそうだ。昨日より今日、今日より明日は、ほんの少しでも成長したいと願って生きているつもりでも、我を忘れて仕事にばかり没頭していると、ときに自分の大切にしていることが揺らぎそうになる。そんなとき、あるべき自分の姿に戻してくれる、大なり小なりの方法をいくつか持っている。たとえば、好きな音楽を聴きながらのジョギング、小石川植物園の桜の小径に寝転ぶこと、『エトワール』や『イヴ・サンローラン』『アダン』『ジャクソンポロック』『グレン・グールド』などサプリ効果のあるDVDを見ること、そして島田順子さんのフォトエッセイ。

これまで幾度も順子さんを取り上げた女性誌の記事を拝見してきたが、ただ「ブルトーザーのように大胆に人生を切り開いてきた格好いい人」という勝手な先入観しかなかった。急激にスイッチが入ったのは昨年秋に刊行された『島田順子スタイル』を読んだときだ。これまでのイメージはたち消え、甘く、もろく、茶目っ気のある順子さんが見えてきた。格好いいのに、とてつもなく可愛らしく、装いにふわりと知性が薫る。エレガンスの本質をとは、こういうことなのかもしれない。

一昨日手にした『プレミアムクロワッサン』で特集されていた新たな順子さんの名言を吸収し、こんな70代になりたい!という目標ができた。シンボルミューズの存在が、2013年の私を一層支えてくれるだろう。

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2012年7月29日 (日)

贈られた本、贈った本

Imgp4413 Imgp4414 昨日、24歳の友人が、浴衣の着付けを教えてほしいと我が家を訪ねてきた。お礼にもらったのは、彼女の本棚で大切に時間を重ねてきた、グラフィックデザイナー松田行正氏の『ZERO』。世界中の様々な記号や暗号、符号や明治時代に流行した新日本文字など、不可思議な図形が、その成り立とともに綴られている。眺めているだけでもユニークで、記号に込められた特性の面白さを堪能できる。松田氏が手がける本は、仕掛けが秀逸。たとえば、カバーの折り返し部分の自由な曲線、そしてカバーの裏面に<文字ネットワーク>なる本文にはない情報が隠されていたり、本の側面がすべてブルーに彩られていたり、刷版によって装丁の色を変えたり(これはブルーだが、アマゾンにはオレンジがのっていた)。この人は絶妙な遊びをこころ得ていると感じた。

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あまりにも素敵な本の贈り物だったので、私の本棚からもお返しを。料理好きの彼女に、10年来大切にしてきた『修道院のレシピ』を贈った。フランスの女子高生が使う料理の教科書といわれているレシピ本で、普通の家庭で食されているベーシックなフレンチのA to Zが詰まっている丁寧な本である。写真もレイアウトも美しいので、アート好きの彼女はとても喜んでくれた。

もらった『ZERO』を今朝から夢中になって読んでいたら、夫が「早く朝ごはんを用意してほしい」という面持ちでこちらを見ている。そこで、<カイネジクス>の表情記号で対抗してみた。<眉を寄せ、目をいからせ、口をとがらせ、顎を突き出す>という記号を組み合わせたら、こんなふうになった。どう見ても、怒っているようには見えない愛嬌のある顔になった。これには夫も空いた口がふさがらなかった。
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2012年4月16日 (月)

今読んでいる本

41s6p929xpl__sl500_aa300_ 私には60代の女友達が多い。知り合ったのは私が20代、彼女たちが40代の頃だったが、一緒に年を重ねたら、私は40代、彼女たちは60代を迎えた。リスペクトしながらも、ちょっぴりカラカウこともできる、心地よい関係。素敵な60代に囲まれていると、エイジングが怖くない。肉体的な問題は少々棚上げしたとしても、皆、気持ちは新しいことをグングンと吸収するスポンジ体質で、お洒落が大好きというのが60代エンジェルズの共通点だ。

その中の一人が、石岡瑛子さんの『I DESIGN』をレコメンド。B6版変形の約500頁という分厚い本だが、書店で即買い。持ち歩くには重いけれども、電車で目的の駅を乗り過ごすほど石岡ワールドにどっぷりはまっている。編集稽古の課題本(小学生の読書感想文的なことを書く稽古がある)である『現代アート入門の入門』(山口裕美)も読了しないうちに、すぐに美味しそうなものを見つけると摘み食いしたくなる・・・悪いくせだ。

また別の60代は、『モノからモノが生まれる』(ブルーノ・ムナーリ)をすすめてくれた。気になる。稽古の師範代は、『モードの迷宮』(鷲田清一)や『みっともない人体』(バーナード・ルドフスキー)を、レコメンド。これまた気になる。・・・・・・まとまりのないBOOK MAPに我ながら呆れる。

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2011年10月24日 (月)

何度も読み返したくなる本

Imgp4012 まずは雑誌の仕事でご一緒した横尾香央留さんの『プレゼント』。ご本人も作品も、とても可憐で、愛らしい。でも、それだけじゃない。ご本人がしたためた温かくて洒脱な文章には、オチも、笑いも、涙も、ちょっぴりの毒もある。真っ白なリネンのようでいて、その実とても表情豊か。だから作るモノ、お直しするモノが面白い。一気にダダダッと読み終えたのち、時々パッと開いたページをじっくり読んではニンマリしている。そんな横尾さんの作品エッセイが「ほぼ日刊イトイ新聞」にてスタート!

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もう一冊は、『島田順子スタイル』。パリ在住の島田さんのスタイルは、トラッドを基本に、どこかにカジュアルな引き算やパンチを効かせて、お洒落を心から楽しんでいることが伝わってくる。なんて素敵なの!キメすぎずに、スカーフはきれいに畳まずににクシャッとさせてから結ぶ、ロングストールはなるべくクルクルッと自然に巻く。そして、大切なのはあえて鏡を見ないこと。そのほうが、サマになるのだとか。コーディネートも、暮らし方も、哲学も、格好いい!

ご紹介した2冊はここ数日のお気に入り。毎日眺めている。横尾さんの本と、島田さんの本は、まったく違うテイスト。こんなふうに本だけでなく、私の趣味趣向は、洋服も着物もインテリアも、憧れの人も、好きなものが散らかりすぎて、自分はいったい何を目指しているのだろうと時々反省したくなる。でも、「いろんなものが好きでいい!」と島田さんは教えてくれる。

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2011年10月15日 (土)

最近読んでいる本

419cjd7jwcl__sl500_aa300_ 今年の敬老の日、NHKの番組で強烈なマダムを見た。90歳とは思えない柔軟んあ考え方と自由な発言、一人で生きているたおやかさに、引き込まれた。それが日本画家・堀文子さんであった。すぐに数冊の本を取り寄せて読み始める。この方の言葉は実に的確だ。けして写実的ではないのだが、真実を見極めて、その点と点を繋ぎ合わせて作り出す、抽象画のような言葉が心地よく届くのだ。『粋人に会う』は、雑誌『婦人画報』での対談の連載をまとめた一冊。対談中の言葉のラリーも品よく洒脱。そして、最も私が惹かれたのは、堀女史による人物評である。

たとえば、作家・青木玉さんに対しては「謙虚な心遣いがふっくらとしたおかしさを湛えている」、俳人・黒田杏子さんは「大ぶりな風貌の奥に秘めた心のひだの深さ、スケールの大きさはメコン河のよう」、元芸者の露木さんにいたっては「幾つになっても変らず、獲りたての野菜にように新鮮でういういしい」、さらに、彫刻家流 政之は、「目減りしない人」と讃している。

独特の感性から発せられる虚飾のない言葉の使い方、勉強になります。

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2011年10月 2日 (日)

読んで味わう料理本

Imgp3960_2世の中ではいかに手抜きをして美味しい料理を作るかというクッキング本がもてはやされている。だが、天邪鬼な性格ゆえか、手抜き本にはまったく興味がない。最近読み込んでいるのは、辰巳芳子さんや土井義晴さんの著書だ。おふたりとも、下ごしらえを大切にして、調味料を昔ながらの要領でシンプルに使うのが共通点。下ごしらえは多少面倒ではあるが、きちんとやると、それだけで料理の味が格段に変るのは、ずぼらな私でも実感ずみ。さらに、おふた方に通じているのは、言葉の美しさだ。日々の食事への思いや、食材をフィルターとした季節を愛でる感性が、飾ることなくまっすぐに心に響く言葉で、丁寧に綴られている。料理の作り方だけでなく、そのフレーズを目で味わうだけでお腹と気持ちが満たされるようだ。

また、最近話題のタニタの社員食堂本もお気に入りの1冊。仕込みに重点をおいている哲学に共感できるからだ。どうやったらカロリーを控えられるかというセオリーもわかりやすい。

料理における準備の大切さは、仕事のしかたや生き方にも言えるのかもしれない。

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2011年9月 4日 (日)

丁寧に暮らすお手本は・・・

C4_53_lag 20代の頃から、私にとって丁寧に暮らすお手本は『暮らしの手帳』。裁縫は苦手だし、スローライフに暮らすことは難しいが、読むとほっとする気持ちのヨリドコロのような雑誌である。一番好きなページは、大橋静子さんの『素敵なあなたに』。単行本もしっかり揃え、「こんなふうに老後を送れたら・・・」と読むたびに夢想する。松浦弥太郎氏を編集長に迎えてからは、年齢が遠からずということもあり、より親しみやすい内容になった(昔ながらのファンには、いささか馴染めないページもあるかもしれないが)。とにかく、私にとっては小さな丁寧を、毎日コツコツと重ねることの大切さを教えてくれる雑誌である。

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2011年7月18日 (月)

戦国の茶人に興味津々

きっかけは文庫本化された漫画『へうげもの』。それを機に、『へうげもの』まわりの本に次々と手が伸びている今日この頃。自分が学んでいる茶道が戦国時代にどんな文化として普及し、茶人たちの気概51oall4c9nl__sl500_aa300_ Booksがどれほどのものであったか。ほんの少し、感じられた。 41gcktfzcl__sl500_aa300_

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2011年5月27日 (金)

今読んでいる本

515wwpkvxnl__sl500_aa300_ 41c60e7nekl__sl500_aa300_ 今バッグの中に持ち歩いている本はこの2冊。まず、米原万里さんの『魔女の1ダース』。ロシア語の専門家として通訳をつとめる米原さんならではの、彼の国の社会事情や文化の違いによっておこる愉快なエピソードが満載。たとえば、かつてサウジアラビアの王子が日本を訪れた際に、霊柩車を見て感動し、自国で同じデザインを再現した・・・など。軽いたっちでありながら、深い概念にまで切り込んだ視点が面白い。

もう一冊は赤瀬川原平氏による『千利休 無言の前衛』だ。利休をとおして赤瀬川氏の芸術論に触れられる一冊だ。「<略> どんな入れ方であれ毎日繰り返すうちには、お茶の入れ方にある筋道ができて、リズムが生まれてくる。そのおこない自体が、目的を離れて、少し浮き上がってくるのを感じる。ただのお茶を入れるというおこないに「道」が出来上がっていくのが、何となく自分でもわかるのである。」というフレーズなど、今の私が茶道と向き合う上で気になるフレーズにも出会えた。

20110527 今日のお弁当。夕飯の残りを投入・・・。

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2011年5月22日 (日)

癒し顔、七変化

Imgp3868 このところ、寝る前につい開いてしまう一冊が川島小鳥さんの『未来ちゃん』(ナナロク社)。雪国育ちの私としては、自分の子ども時代を重ねてながめてしまい、とってもいとおしいショットばかり。しばらくは手放せません。

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