夜ピクニック
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年末、自宅にダイニングテーブルがうまれた。「うまれた」というのはおかしな表現だが、これまで仕事机だった我が家で一番大きなテーブルが、食卓としてうまれかわったのだ。ゆえに、冒頭の一文は夫婦の実感としては正しい。この小さな暮らしの変化で、料理熱が加速しているなか、先日はオレンジページが主宰する「みそ仕込み会」に参加。自分の気持ちが舞い上がっているときには、プロによる洗練された逸品よりも、荒削りでも自らの手塩にかけたもののほうが美味しく感じるものである。無我夢中に麹と塩を混ぜ、茹で大豆をつぶし、手捏ねを繰り返すこと約1時間。一応、味噌らしきものの原型が出来上がった。翌日は、フライパンをふるのも一苦労なほど腕はパンパンになり、寄る年波の筋肉痛を嘆く。そうまでした成果のほどを確かめられるのは、遥か7ヶ月後だ。
料理でも仕事で、“仕込みの時間” は一番大変であるが、一番充実しているように思う。恋愛においても、夢中に仕込みをしているときは楽しいもの。それを熟成させていくと、まろやかな旨味が味わえる。みそも仕事も夫婦の関係も、大なり小なりの仕込みと熟成を繰り返して人生の味わいを増したいものである。
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無類の珈琲好きである。夫の友人がオリジナル焙煎の珈琲ショップをはじめたというので、さっそく吉祥寺へ出かけた。この日私は深入りのブラジル産のサンアントニオ プレミアム ショコラをチョイス。
手際の良いハンドドリップで、豊かに膨らんだ香りとともに、艶やかな一杯が運ばれてきた。お店の名前は<Blackwell Coffee>。ブラックのままで十分美味しいですよ、という願いを込めてつけられたという。
こちらは珈琲ぜんざい。小豆を粗目を珈琲でコトコトと時間をかけて煮詰めた、コクのあるキャラメルのような味わいは、甘さの後にほろ苦さが鼻に抜け珈琲にぴったり。
壁際に並ぶ本のセレクトにもセンスが感じられ、絵本から写真集、ニッチな音楽の本などが居心地よく寄り添ってくれる。思わず、目にとまった『イスとイヌの見分け方』に釘付けになりながら、手はぜんざいの器とマグカップを忙しく行き来した。
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京野菜のギフトセットをいただいた。東京のス-パーではお目にかからない贅沢な顔ぶれの中に、一際珍しい存在が。葉人参である。さっと湯通しして胡麻和えにするとよい、という説明書きを参考に、ゴマ味噌ドレッシングで代用したおひたしを作ってみた。シャッキリとした食感と仄かに苦い豊かな香味がなかなかのもの。
最近は、素材をいじりすぎないシンプルな料理に魅力を感じることが多い。先日個展を訪れた京都のある陶芸家は、小料理屋に入るなり「料理してないモノを出して」と注文するという。本物を知り尽くした粋人だからこそ許される言葉なので、私など真似はできないまでも、真意は共感できることがある。創作料理が溢れる世の中で、旬の真面目な素材を作りこみすぎずに、ほんのひと手間かけるというひと皿に滋味を感じる。そんな習慣を少しずつ、我が家の食卓にも取り入れたい。
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